レザークラフトにおいて、染色やカットと同じくらい仕上げの工程は重要です。特に、使い込んだような風合いやアンティークな表情を加えるために用いられるのが「アンティークフィニッシュ」。今回は、アンティークフィニッシュ(アンティックフィニッシュ)の使い方とその魅力を、初心者にもわかりやすく解説します。
目次
- アンティークフィニッシュ(アンティックフィニッシュ)とは?——“味出し”専用の仕上げ材
- アンティークフィニッシュの使い方
- 協進エルとクラフト社、2つのアンティックフィニッシュを比較
- アンティークフィニッシュの使い方・注意点【Q&A】
- アンティークフィニッシュで広がる表現の世界
- まとめ:雰囲気づくりは「最後のひと手間」から
アンティークフィニッシュ(アンティックフィニッシュ)とは?——“味出し”専用の仕上げ材
アンティークフィニッシュは、レザー表面の凹凸や型押し部分に色が残ることで、深みのある陰影を与える専用の仕上げ材です。ベタ塗りではなく、塗ってすぐに拭き取るという一風変わった使い方によって、革本来の立体感を引き立てます。
- 主にタンニン鞣し革用(ヌメ革など)に使用
- 色はダークブラウンやブラックなどが主流
- 型押し模様・刻印と相性抜群
「新品なのにヴィンテージ感がある」——そんな表情を革に宿すことができます。
アンティークフィニッシュの使い方
アンティークフィニッシュは、革の凹凸や模様に色を残して立体感を演出する“仕上げ剤”です。特にカービングやスタンピングとの相性が良く、作品に深みと雰囲気を与えてくれます。
ここでは、初心者の方にもわかりやすく、基本的な使い方と注意点をご紹介します。

使い方の手順
- レザーコートまたはタンコートを下塗りする
まず革全体にレザーコートやタンコートを軽く塗り、ベースを整えます。これはアンティークフィニッシュが「凹部分だけに残るように」するための下処理。ムラ防止にも効果的です
*下塗りは無くてもOK!下塗りのありなしで好みの方法で作成して下さい
- 歯ブラシでアンティークフィニッシュを塗り込む
乾いたら、歯ブラシなどの柔らかいブラシを使い、アンティークフィニッシュを革に塗り込みます。ポイントは「凹み部分にしっかり入れ込む」こと。革を傷つけないように、優しくこするようにしてください。 - 布で表面を拭き取る
すぐに布で表面の余分な塗料を拭き取ります。出っ張った部分の色を落とすことで、陰影がくっきりと出て立体的な仕上がりになります。 - 乾燥後、仕上げに乾拭き+レザーコート
しっかり乾燥させた後、乾いた布で乾拭きし、最後にレザーコートやタンコートで仕上げのトップコートを塗って保護します。
注意点(安全に使うために)
- 換気をしっかりと
アンティークフィニッシュには有機溶剤が含まれています。使用中や使用後は、部屋の換気を十分に行ってください。屋外や風通しの良い場所での作業が理想的です。 - マスクと手袋を着用しよう
長時間触れると肌荒れの原因になる場合もあるため、作業時はマスクや手袋を着用するのが安心です。特に手に色が残りやすいため、使い捨て手袋がおすすめ。
協進エルとクラフト社、2つのアンティックフィニッシュを比較
アンティックフィニッシュといえば、代表的なのが「協進エル」と「クラフト社」の2製品。どちらも革の凹凸を際立たせ、深みある表情を演出できる優れた仕上げ剤ですが、仕上がりの印象や使い心地に微妙な違いがあります。
■ 協進エルの「アンティックフィニッシュ」
レザー用染料や仕上げ剤を多数展開する協進エルが提供する、定番のアンティーク仕上げ剤。カービングなどで生まれた凹凸にしっかり入り込み、ムラの少ない美しいアンティーク表現が可能です。仕上げにはレザーコートまたはタンコートを重ねることで、色移りや退色を防止できます。
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■ クラフト社の「アンティックフィニッシュ」
クラフト社も、扱いやすく発色の美しいアンティックフィニッシュを展開。水溶性で伸びが良く、初心者にも扱いやすいのが特長です。広い面への塗布もしやすく、仕上げに透明感のある奥深い色合いが得られます。定番のブラウンやブラックのほか、赤味がかった「マホガニー」などのカラーバリエーションも魅力。
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■ クラフト社の「アンティックダイ」
クラフト社が展開する「アンティックダイ」は、アンティーク調の色味と同時に“染色”効果も得られるアイテム。仕上げ材ではなく染料に分類されるため、よりしっかりと革に染み込んで深みのある風合いを作り出します。乾燥後は仕上げ材でトップコートをすることで色落ちを防ぎ、美しい質感が長持ちします。アンティークフィニッシュとの使い分けや重ね塗りで、より表現の幅を広げることも可能です。
アンティークフィニッシュの使い方・注意点【Q&A】
Q. アンティークフィニッシュってどうやって使うの?
A. 染色済みの革や刻印入りのヌメ革に使用します。
スポンジや柔らかい布で薄く全体に塗布し、すぐに乾かないうちに乾いた布でふき取ると、凹みに色が残ってアンティーク風の陰影が出ます。
Q. どんな革に使える?
A. ヌメ革(タンニンなめし)の未加工面や、すでに染色済みの面に使用可能です。ただし、オイルが多く含まれた革やコーティングされた革には浸透しにくいため、効果が出にくいです。
Q. 拭き取りが難しいんだけど、コツはある?
A. 塗布後すぐに(10〜30秒以内)ふき取るのがコツ。放置時間が長いと定着してしまい、ムラになります。乾いた柔らかい布で、均一に力を入れて拭き取るのがポイントです。
Q. 仕上げにトップコートは必要?
A. はい、推奨されます。アンティークフィニッシュは耐水性や色移り防止性能が高くないため、乾燥後にトップフィニッシュ(レザーコートやタンコート)を重ねることで、定着力や耐久性がアップします。
Q. どんな場面におすすめ?
A. カービングや刻印を入れた作品、立体感を出したいロゴ面などに最適。色の濃淡や“古びた風合い”を出すため、アクセントづくりにも効果的です。
アンティークフィニッシュで広がる表現の世界

「クラフト作品の格が上がる」演出力
アンティークフィニッシュの最大の魅力は、“風合いの演出力”。
単色のレザーに深みのある陰影を加えることで、作品全体がぐっと引き締まり、まるで長年使い込まれたようなヴィンテージ感を生み出します。ナチュラルレザーに塗るだけでも、まったく異なる表情に仕上がるのが特徴です。
エイジングとの相性も抜群
アンティークフィニッシュは、ロウ分や油分を多く含むレザーとも好相性。特にヌメ革のように経年変化する素材と組み合わせると、最初から味のある表情を加えつつ、使い込むほどに奥行きが増していきます。仕上げ材でありながら、エイジングの過程も楽しめるのは大きな魅力です。
カービングとの組み合わせで真価を発揮
カービング(彫り模様)の凹凸にアンティークフィニッシュが入り込むことで、模様がくっきりと際立ち、立体感のある仕上がりに。手間をかけた技法にさらに深みを与えるため、「クラフトの格が一段上がる」とも言われます。
特にフラワーカービングやシェリダンスタイルとの組み合わせは定番です。
まとめ:雰囲気づくりは「最後のひと手間」から
アンティークフィニッシュは、革に表情を与えるための最終仕上げにぴったりの一本。刻印や模様を引き立たせるだけでなく、使い込んだような深みや渋みを革に加えてくれます。
いつものクラフトにひと味足したいとき、ぜひこの“仕上げの魔法”を取り入れてみてください。
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