「せっかくお気に入りの革を買ったのに、縫ってみたらなんだか安っぽい…」 「菱目打ちで開けた穴に対して、糸が細すぎてスカスカに見える…」
レザークラフトを始めたばかりの頃、誰もが一度はぶつかるのが**「糸選び」の壁**です。手芸店に行けば無数の太さや種類が並び、ネットを見れば「シニュー糸がおすすめ」「ポリエステルがいい」と情報が溢れています。
実は、綺麗なステッチを作るには、単に好きな色を選ぶだけでは不十分です。大切なのは、「道具(菱目打ち)と糸の太さの相性」を知ること。
この記事では、初心者が迷わず「これを選べば間違いない」と言える標準的な基準と、作品の完成度をプロ級に引き上げるための選び方を、具体的な数値とともに分かりやすく解説します。
Table of contents⇩
- レザークラフトに使われる糸の種類
- 理想の仕上がりを叶える「糸の太さ」と「穴の間隔」の黄金比
- 色選びのポイント
- 糸の種類選び:あなたの「作りたい」に寄り添う3選
- 忘れがちな「針」との相性
- まとめ:迷ったら「0.6mm前後」から始めよう
レザークラフトに使われる糸の種類
レザークラフトにはさまざまな種類の糸がありますが、どれを選んでも適切に使えば美しい仕上がりになります。以下で代表的な糸の種類を紹介します。
①. ポリエステル糸(ビニモ、シニューなど)
- ポリエステル糸は、強度が高く、摩擦に強いのが特徴
- アウトドアアイテムや日常使いの革製品に非常に適している
- カラーバリエーションが豊富で、選べる色も多い
- ロウ引きされていないタイプが多いので、蝋引きを行う必要がある場合もある
②. 麻糸(リネン糸)
- リネン糸は、ナチュラルで温かみのある風合いが特徴
- 経年変化を楽しむことができ、使い込むほどに味わい深くなる
- レトロな仕上がりを求める方におすすめ
- 毛羽立ちやすいので蝋引きが必要
麻糸はやや毛羽立ちやすいため、ロウ引きして使うことが多いですが、
ロウ引きしないタイプの麻糸も存在します。
ロウ引きを施せば、使い勝手が良くなり、初心者でも問題なく使用できます。
もし、ロウ引きされていない麻糸を使用したい場合は、「ミニロウ(手縫いワックス)」を使って簡単にロウを塗ることができるので、手縫いの際に非常に便利です。
ミニロウ(手縫いワックス)
理想の仕上がりを叶える「糸の太さ」と「穴の間隔」の黄金比
「太い糸は丈夫」「細い糸は繊細」というイメージはあっても、具体的に何ミリの糸を買えばいいか悩みますよね。
結論からお伝えします。初心者が最初に手にするべき**「標準(スタンダード)」は、0.5mm〜0.6mmの太さ**です。
なぜなら、市販の初心者キットや一般的に使われる菱目打ちのサイズに最も馴染み、どんな作品にも「品の良さ」と「丈夫さ」を両立させてくれるからです。
お手持ちの「菱目打ちのピッチ(刃と刃の間隔)」に合わせて、以下の表を参考に選んでみてください。

引用:クラフト社HP
①. 細い糸(0.4mm前後)
- 細い糸は、小物や繊細なステッチに最適
- 上品で繊細な印象に仕上がるため、財布やカードケースなどの小物にぴったり
細い糸を使うことで、ステッチが目立ちすぎず、革の質感を引き立てることができます。
②. 太めの糸(0.8mm〜)
- 太めの糸は、存在感があり、厚めの革を使用した製品に最適
- ステッチが目立ちやすく、カジュアルで男前な印象に仕上がる
例えば、ベルトやバッグなどのアイテムに使うと、力強い印象を与えることができます。
| 菱目打ちのピッチ | 推奨される糸の太さ | 適した作品例 |
| 3.0mm〜3.5mm | 0.4mm〜0.5mm | 名刺入れ、コインケース(繊細な仕上がり) |
| 4.0mm(標準) | 0.5mm〜0.6mm | 財布、キーケース(最も汎用性が高い) |
| 5.0mm以上 | 0.8mm〜1.0mm以上 | バッグ、ベルト(ワイルドで丈夫な仕上がり) |
4.0mmピッチの穴に0.8mmの太い糸を通すと、縫い目が窮屈で野暮ったい印象になってしまいます。逆に3.0mmピッチに0.8mmを使うと、革が糸の太さに負けて波打ってしまうことも。この「数値のルール」を知るだけで、あなたの作品は見違えるほど洗練されます。
色選びのポイント
縫い糸の色選びは、レザークラフト作品の印象を大きく左右します。色の選び方次第で、シンプルで落ち着いたデザインにしたり、アクセントを加えて個性的な仕上がりにしたりできます。
①. 革と同系色にすると…

革と同系色の糸を選ぶと、ステッチが馴染み、全体的に統一感が生まれる
例えば、茶色の革には茶色やベージュの糸を使うことで、
ナチュラルでシンプルな印象を与えることができます。
この方法は、シンプルで落ち着いた雰囲気を好む方におすすめです!
②. 革とコントラストのある色にすると…

革と対照的な色の糸を選ぶと、ステッチが際立ち、
作品にアクセントを加えることができる
例えば、黒い革に赤い糸を使うことで、目を引くデザインになります。
この方法は、個性的でカスタム感を出したい方に最適です!
アウトドアギアやカジュアルなアイテムには、ブラック×レッドやグリーン×レッドなどの配色が人気です!
糸の種類選び:あなたの「作りたい」に寄り添う3選
種類によって、縫い心地や見た目の風合いが大きく変わります。それぞれのメリットだけでなく、初心者が陥りがちな「注意点」も正直にお伝えします。
① ビニモMBT(ポリエステル):扱いやすさNo1
初心者に最もおすすめなのが「ビニモMBT」です。
ビニモMBTはカラーバリエーションが豊富で、高品質なポリエステル糸です。
手縫いにもミシンにも使える万能タイプで
ボンド加工やロウ付きのものを選ぶと、毛羽立ちが抑えられ、
より綺麗な仕上がりになります。
- 選ぶ基準: **「5番(約0.6mm)」**を基準にしましょう。これ一本あれば、小物から財布まで幅広くカバーできます。
- 注意点: 非常に滑りが良いため、最後をしっかり引き締めないと緩みやすい性質があります。
*協進エルの商品は番手の数字が少ないほど太い糸です
協進エル1番(太)
協進エル5番(中)
協進エル8番(細)
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② リネン糸(麻糸):上質なヴィンテージ感
リネン糸は、自然な仕上がりが特徴で、使い込むほどに革と馴染み、高級感を演出してくれます。エイジングレザーやレトロ系のアイテムにぴったりです。
ロウ引きされたものを選べば、初心者でも安心して使うことができます。自然素材ならではの風合いが、使うほどに味わい深くなるため、長く愛用できるアイテムを作りたい方におすすめです。
- 天然素材特有の風合いがあり、ハイブランドのような上品な仕上がりになります。
- 選ぶ基準: 0.5mm〜0.6mm前後。
- 注意点: 摩擦に弱く、縫っている途中で毛羽立ちやすいのが難点。必ず「ロウ」をしっかり引き直してから使いましょう。
- 麻糸は自然素材で熱で溶けません。なので、レザークラフトの制作動画でよく見るライターで炙って溶かす端部処理はできません。
リネン糸(麻糸) 0.65mm
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リネン糸(麻糸) 0.55mm
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リネン糸(麻糸) 0.45mm
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③ シニュー糸(人工腱糸):圧倒的な強度とクラフト感
シニュー糸は動物の腱を模した、ワイルドな作品に欠かせない糸です。ロウ引きされていてほつれにくく、初心者でも手縫いしやすい糸です。
強度が高く、野外で使うアイテムにも適しています。
また、シニュー糸は端部をライターで炙って溶かすだけで簡単に処理ができるので、
手縫いの端部処理が容易で仕上がりも綺麗です。
- 驚くほど丈夫で、ちぎれる心配がほぼありません。独特の平たい形状が、手作りならではの温かみを生みます。
- 注意点: 実はシニュー糸は、そのままでは太すぎることがあります。**「自分で裂いて太さを調整し、手で撚(よ)りをかける」**というひと手間が必要になります。この手間を楽しめるようになれば、あなたはもう初心者卒業です。
シニュー糸(人口腱糸)
RAOでは、この経年変化を楽しめる風合いにこだわり、ナチュラルな仕上がりを引き立てるリネン糸を使用したギアを展開中。革と糸がともに育っていく感覚を、ぜひ体験してみてください。
【FIELD NOTE vol.1】革が育つ道具たち──ロロマレザーとリネン糸に込めた“経年変化へのこだわり
革が語り始める瞬間を、あなたとともに。 アウトドアの現場で共に時を過ごし、手に馴染み、風合いを深めていくギアた…
忘れがちな「針」との相性
糸を選んだら、最後に「針」のサイズも確認しましょう。 太い糸を無理やり細い針に通そうとすると、針穴が裂けたり、縫っている最中に糸が擦り切れてしまいます。
- 細い糸(0.4〜0.5mm)用: 細針(3mm〜4mmピッチ用)
- 標準〜太い糸(0.6mm以上)用: 太針(5mmピッチ以上用)
「糸・穴のピッチ・針」の3つが揃って初めて、ストレスのない楽しい手縫い時間が生まれます。
まとめ:迷ったら「0.6mm前後」から始めよう
もし今、手元に何もなくて迷っているなら、まずは**「4mmピッチの菱目打ち」に「0.6mm(ビニモMBT 5番など)の糸」**を合わせてみてください。
これがレザークラフトの「基本のキ」であり、最も失敗が少なく、長く愛用できる作品が作れる組み合わせです。
道具との相性をマスターして、世界に一つだけの、納得のいく作品作りを楽しんでくださいね。
糸の特徴の比較表を用意したのでクラフトの参考にしてください!
| 糸の種類 | 特徴 | 向いている作品例 |
|---|---|---|
| シニュー糸 | ・ナイロン製で非常に強度が高い・裂けにくく、水濡れにも強い・ロウ引き不要で扱いやすい | アウトドアギア、キーホルダー、ペット用品など耐久性重視の作品 |
| ビニモMBT | ・ポリエステル製で色展開が豊富・ミシン・手縫い両用・ロウ引き済みで滑りが良く初心者向き | 財布、カードケース、名刺入れ、日用品小物など |
| リネン糸 | ・自然素材ならではの風合い・ロウ引きで耐久性UP・使い込むほど味が出るエイジングが魅力 | エイジングレザー作品、クラシックな雰囲気のバッグ、小物 |
今回の記事で紹介したおすすめ縫い糸
ビニモMBT 5番
リネン糸(麻糸)0.55mm
シニュー糸 0.8mm
ミニロウ
あなたに「そっと」寄り添う革のパートナー”sot”
